学部特色化のあり方の検討に当たっては、学部理念の原点に立ち返って、環境人間学部の教育目的と育成する人材像を明確にするとともに、ディプロマ・ポリシーおよび教育プログラムについて検討しました。

 

(1)学部の教育目的

 学部規程第2条には、本学部の教育研究上の目的が規定されています(表1)。この規程は、環境に関する政策学と技術学を、人間学を基軸に考究する文理融合を基礎とした学際型学部であるとの理念を掲げたものです。

 

表1.兵庫県立大学環境人間学部規程

(教育研究上の目的)

2条 本学部は、環境に関わる科学技術、生活技術、社会構築技術などの技術学と環境政策など環境に関する政策学を、人間学を基軸として考究するとともに、環境に関する識見をもち、環境問題に関しての思想的発信と環境と共生する人間性を育む文化の創造を担う人間を育てること、また、人間学の基本に立って技術と政策の活用を図ることができる実務に強い人材を育てることを目的とする。

 

 

ここで、人間学とは人間の存在と本質を明らかにしようとする学問であり、哲学や人類学の他に心理学、教育学、政治学などの見地からも探求されます。環境人間学においては、人間学を環境との関わりから「人間の生き方・暮らし方の実態とあるべき姿について探求するとともに、より良い自己実現と社会参加を達成する方策の考究」とします。そして、技術学と政策学を環境と暮らしに関わる課題に対処するためのそれぞれの専門学系(後述)における基本的な観点(アプローチ)と位置付けることで、人間学を本学部の基軸(基盤)、技術学と政策学を専門的観点として捉えます(図2)。

図2 環境人間学における人間学・技術学・政策学の関係

(2)「環境シナジー人材(仮称)」の育成

兵庫県立大学は公立大学として地域貢献のミッションを有し、環境人間学部には兵庫県の地域創生を担う人材の育成が求められている。特に、社会的変化の激しい時代にあっては、より広い視野(グローバル)で社会の変化に柔軟に対応しつつ、地域(ローカル)で活躍できる人材が必要とされています。

本学部では、いわゆる「地域人材」に求められる能力に加えて、環境と人間との関係を基盤に、学際的・総合的な視野に立って課題解決を行う実践力を備え、豊かな暮らしと活力ある地域の創造に貢献できる「環境シナジー人材(仮称)」の育成を目指します。

このような人材が活躍する場は、兵庫県はもちろんのこと、様々な地域にある。兵庫県各地をフィールドとして、地域のあり方、地域へのかかわり方等について深く学んだ知識と経験は、日本全国ひいては世界で活躍する上で欠くことのできないものです。また、将来的には各地の地域人材のネットワークを構築し、そのリーダーとして活躍できる新たな人材を育成します。

 

(3)学部のディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)

学部学生が卒業時に身につけておくべき能力がディプロマ・ポリシーであり、「大学における教育の質保証」を実効あるものとして行うために、環境人間学部は育成すべき能力を表2のように設定します。

 

表2.ディプロマ・ポリシーで保証すべき能力(案)

1.      幅広い教養と、語学力を活用したコミュニケーション能力を身につけている。

2.      人間の生き方・暮らし方の実態とあるべき姿について思考することができる。

3.      情報収集・分析・考察・構想を通して知的・創造的に思考することができる。

4.      各自が自分の目標を設定し、その実現にむけて行動することができる。

5.      多様な価値観を尊重し、社会の課題解決にむけて他者と協働することができる。

6.      それぞれの専門の系または課程についての専門知識を有し、深く思考することができる。

7.      環境と人間の暮らしに関わる幅広い知識を有し、俯瞰的に思考することができる。

8.      環境と人間の暮らしに関わる課題の解決に、専門的な技術と政策を用いて貢献できる。

 

①人間学で修得できる能力

環境人間学の基軸となる「人間学」は、前述のように「人間の生き方・暮らし方の実態とあるべき姿について探求するとともに、より良い自己実現と社会参加を達成する方策の考究」であり、具体的には以下の4つの能力とします。

a) 人間の生き方・暮らし方の実態とあるべき姿について探求する力

b) 情報収集・分析・考察・構想という人間の知的・創造的思考力

c) 一人ひとりが自らの個性を磨きつつ、自身の夢や目標を実現していく自己実現力

d) 多様な価値観を尊重し、社会の課題解決にむけて他者と協働していく力

 

②技術と政策のイノベーション・構想

 環境と人間の暮らしに関わる課題を解決するためには、各対象の科学的解明のみならず、対象に効果的に働きかけるための「技術」が必要となります。ここで言う「技術」とは、人間が目標の実現や課題解決のために用いる物質的、身体的、知的な広義の「わざ」のことです。

 

 また、環境と人間の暮らしに関わる課題を解決していくためには、「政策」も必要です。ここで言う「政策」とは、課題の原因を解明し、解決策を考案・提示し、実施していく営みのことです。政策は行政のみならず、NPOや企業も担うようになっています。

 

※詳細については現在検討している段階であり、今後、変更する可能性もあります。