(1)基盤教育の充実

学部教育において、全学共通科目および専門基礎科目を基盤教育のための科目群と位置づける。基盤教育の充実のため、人間学に関わる科目を基軸科目(ここでは「人間学科目」と称する)として新たにおくとともに、専門基礎科目として課題解決のための技術学や政策学の基礎科目を含めた科目群をおきます。なお、人間学は学部の基盤であると同時に基軸でもあるため、1年次のみならず、2年次、3年次においても専門科目を修得しつつ学べるように配置します(図3)。

人間学科目としては、人間の心身の発達を学ぶ「人間学I」、生活科学やライフデザインを学ぶ「人間学II」、市民社会や多文化共生を学ぶ「人間学III」などを新たに設けます。

 

また、専門基礎科目としての技術学や政策学の入門的な基礎的科目には、科学技術の功罪を学ぶ「環境科学技術論」、社会的課題とその解決方策の基礎を学ぶ「政策基礎論」などを新たにおきます。


図3 教育と教育科目の体系概要

(2)専門教育の枠組み(カリキュラム)

 

文理融合を基礎とした、より学際的な教育を実現するために、専門教育の枠組みを現在の6コース(環境システム、環境共生社会、環境デザイン、人間形成、国際教養、健康創造)・1課程(食環境栄養課程)から、扱う対象の特性に応じて5つの専門「系」(人間形成、国際文化、社会デザイン、環境デザイン、食環境栄養)に改編します(図4)。食環境栄養については、本学部の特徴ある専門教育の一つで、食と栄養に関わる分野を牽引する人材育成を目的としています(後述)。そのために国家資格である管理栄養士資格取得が必須であり、他の専門系よりもさらに特化した教育課程(プログラム)が必要とされます。ついては、これまでと同様「食環境栄養課程」と呼称することとし、他の専門系とは異なる特色化をめざします(学生は入学時より課程に配属されます)。それぞれの系・課程は表4のような内容を指向します。

図4 環境人間学における教育プログラムの改編

表3.専門教育の枠組みとその指向内容

人間形成系  :「人間の精神的・身体的発達」の解明とその促進

国際文化系  :環境との関わりから生まれる「人間の精神文化と言語」の解明と創造

社会デザイン系:人間が暮らす「社会・コミュニティ」の解明とそのデザイン

環境デザイン系:人間が暮らす「自然・生活空間」の解明とその創造

食環境栄養課程:環境との関わりの中で営まれる「人間の食生活」の解明と創造

 

 

これらの系・課程の専門教育の枠組みの概要を図5に示しました。この図は、環境に対する系・課程のアプローチ(対象・考え方・手法等)の側面から示しています。縦軸は系・課程が主として指向する対象軸(人間-環境)であり、横軸はそれぞれの思考軸(理-文)です。それぞれの系・課程は学習内容が、人間学を中心に相互に関係することにより環境人間学の強みを活かすことを目指しています。

図5 環境人間学における専門教育プログラムの枠組み

学生は、1年次に基盤教育科目(全学共通科目、基軸科目および専門基礎科目の一部)を修得した後、各自の進路希望も踏まえて、2年次に4つの専門系のいずれかを選択し、各系が示す履修モデルを参考に専門科目の中から履修する科目を選択します(食環境栄養課程は入学時より配属される)。

入学時から専門系に配属せず、2年生から幅広い専門系から選択する教育プログラムは、開設当初からの本学部の特徴であり、1年次の1年間で学際的思考の基礎を涵養することと、学生自身の特性を自ら見いだす重要な時期としています。この専門選択の考え方は本学部の特色の一つです。ついては、2年次以降も学際性を指向した科目選択が可能となるよう、専門教育科目についても原則として系に限定した科目とせず、どの系・課程の学生も修得できるようにします(ただし、管理栄養士養成科目については、資格取得の理由から課程学生以外は受講できません)。

専門教育科目において、「技術学」「政策学」のどちらかあるいはそれら両方をより専門性に沿った具体的な内容として学習することで、本学部の理念である「人間学」と「技術学」・「政策学」の関係を具現化する教育課程をめざします。

3年次にその系を担当する教員の専門ゼミ(研究室)を選択・配属し、4年次はそのゼミで卒業研究を行います。本学部では開設当初から、3年次の当初にゼミ(研究室)に配属しており、広い視野を持ちつつも、より専門性を深めることを指向していることを特色としています。このゼミでの学びについても、学生の学際的指向をより深めることができるよう、専門ゼミや卒業研究において、教員やゼミ(研究室)間の連携が図れるような仕組み(例えば、地域連携事業等を活用したプロジェクト制の導入)を検討することとします。

 

(3)各系・課程の概要と期待される進路

各系または課程が提示するカリキュラムマップに従って専門科目を学ぶことにより、学生は以下のような専門的な知識、技能、資質を身につけ、それぞれに示すような職業分野において活躍することが期待されます。

 

  人間形成系

より望ましい人間の成長・発達や生涯にわたる健康の維持増進のための環境づくりを目指します。習得される資質・能力は、個々の生き方を尊重しつつ、 他者との共生を図ることができ、グローカルな視点で、これから求められる人間関係・地域社会を創造できる知識を基盤とした思考力および実践力です。

 

■活躍が期待される分野

人間の成長・発達・健康に関する知識とコミュニケーション力を活かすことができる分野が考えられます。具体的には、健康・福祉・教育関連企業、金融機関、生協・農協などの団体、公務員(警察官、消防士、学校事務職員などを含む)、NPO法人などが考えられます。

 

② 国際文化系

現代社会はグローバル化が進み、自国の状況を知るのみならず、海外情勢を知ることや異文化への深い理解が不可欠です。

国際文化系では、英語をはじめとする語学やそれぞれの言語の文化的背景、国際情勢が生み出す文化現象や多文化社会について学び、社会的なコミュニケーション能力と異なる文化への理解や共感を持てる人材を育成します。また、多面的な文化理解に基づいた人間力を磨きます。

 

■活躍が期待される分野

異なる文化を理解する力や、国際的な関心や語学スキルを活かすことができる職業が考えられます。具体的には、サービス、観光、運輸などの業界における各種職種や、海外における業務や交流のある企業、公務員、国際協力団体などの職種が考えられます。

 

③ 社会デザイン系

 社会デザイン系では、よりよい社会を創るために、他者と協力して社会空間やサービスを創造し、それを通して人間にとってよりどころとなるコミュニティを育んでいくための知識を習得し、その態度と能力を身につけます。

 

■活躍が期待される分野

社会やコミュニティを創造する知識や能力を活かすことができる分野が考えられます。具体的には、金融、商社、交通・観光、マスコミ、団体(農協、商工会等)等の企業の他、公務員、NPO法人、社会福祉法人などが考えられます。

 

④ 環境デザイン系

環境デザイン系では、自然と生活の環境をめぐる時間・空間・社会の特性に関する知識の習得を目指します。その上で分析、計画、環境、構造などの各技術体系に基づきより良い生活空間を構築するための専門知識を学びます。また、これらの専門知識を基礎として快適な居住空間、住みやすい人間社会を創造するための応用技術を習得します。

 

■活躍が期待される分野

 居住空間の創造や生活空間の構築に関する知識や技術を活かすことのできる分野が考えられます。具体的には、建築事務所、住宅・インテリア関連企業、建設会社、公務員(建築などの技術職を含む)、環境関連分野の製造業、情報関連企業、林業・森林関連企業、衛生管理関連企業などが考えられます。

 

⑤ 食環境栄養課程

 「食」は、人間の健やかな成長や穏やかな老化を迎えるために極めて重要で、 私達の暮らしや健康に影響を与え続けています。食環境栄養課程では食と栄養・健康との関わりを専門的に学び、豊富な実験・実習を通して知識を確かなものとし、優れた技能や実践力を身につけ、同時に本学部の特色を生かし、豊かな人間性を身につけた管理栄養士の養成を目指します。「食と健康に関するプロフェッショナル」を育成することで「食」を通した社会貢献を果たすことを目的とします。

 

■活躍が期待される分野

 食環境栄養課程では、豊かな食生活と健康な社会の実現に向けて、科学的視点と専門的実践能力を身につけ、高度な栄養マネジメントを行うことのできる管理栄養士(保健・医療・福祉・教育・食産業などで活躍し、食環境づくりに取り組み、人々の健康と生活の質(QOL)の向上に資する人材)の育成を目指しています。栄養教諭への道も開かれています。

 

※詳細については現在検討している段階であり、今後、変更する可能性もあります。